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Querer que + 未来形

先ほど、面白い tweet を見かけました。要約しますと、

「X に Y して欲しい」と言うときに、上司に対して「querer que + 接続法」を使ったところ、「命令形に捉えられる可能性があるので、未来形を使った方がよい」と言われた。上司はネイティブ。Querer que の後には接続法と習ったのに。Querer que + 未来形は文法的に正しいのですか。

というものです。

結論から言うと、

「querer que + 未来形」は文法的に「なくもないのかな」というところです。Real Academia というまあ、言ってみればスペイン語公式ルール策定機関の文法書には同じく願望を表す動詞である esperar que の後に未来形が来うるとの記述があります。以下のドン・キホーテの例とともに。

Espero que seréis tal gobernador como vuestro juicio promete.

La nueva gramática española (25.5g)

「これ、querer que でも未来形持ってくる人いるんだな」というのがまず、個人的驚きポイントでした。querer que の後に未来形が来るというのは理屈としてはありとは思っていましたが、実際に見たり聞いたりしたことがなかったので。アカデミアの文法書の例文も Quijote のものだし、てっきり死んだ用法とばかり。

令和の時代にこういう未来形の使い方をする人がいること、そして、そういう人には querer que の後に接続法だと命令されている感がでちゃうので、未来形を使う、という感覚がある。そこに奥の深さというか面白さを感じるなと。生きたスペイン語やなあ。

ただ、まあ、これ、外国人は使わない方がいいでしょうね。少なくともスペインではほぼ見聞きしない使い方なので、単に間違えただけと勘違いされる可能性大です。

ふと気になり、調べてみました。

私の使っているデータベース(コーパスというのですが)はスペインのスペイン語の用例を 20 億語分集めたものです。このデータベース内に、querer que の用例は 136,888 回登場しています。

その 約 14 万回の querer que について、その後ろに来る頻度の高い語 TOP 1000 を抽出しました。その結果が↓です。幕の内弁当を食べながらざっと眺めただけですが、未来形は一つもランクインしていないようです。

querer-que

何となくの印象ですが、これは地域差の話のような気がします。多分、Querer que + 未来形 が普通に使われている地域なりコミュニティが存在し、そこから出ると一気に容認度が下がるのだろうな、と。

ともかく、外国人的には querer que ときたら接続法を使っておくのが無難でしょうね。話している相手が querer que + 未来形 の使い手とわかっているときにのみ使う、くらいでいいんじゃないかなと。私も学生が querer que vendrá とかテストに書いてきたら減点しますし。

しかし、実際に母語話者と話すと、こんな感じで単なる知識に血が通うという経験ができますが、いいですね。やっぱり。スペイン語圏、次に行けるのはいつになるのやら……

つたぴのスペイン語は規則正しい生活をおくるよう心がけています。

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