来週、とある授業でスペイン語音楽特集をする関係で、現在、紹介する曲の厳選をしています。なにせ、スペイン語圏は広いし、ラテン音楽が世界のシーンを席巻しているような状態ですからチョイスが豊富過ぎて悩んでしまうのです。
さて、非常にレベルの高いスペイン語圏音楽ですが、その中に私が勝手に「ダサ・ダンサブル」と呼んでいるジャンルがあります。「ダサいのになんかダンサブル」の略で、MV を見ていると若干恥ずかしさすら覚えるものの、妙に印象的で体が動きそうになる、そんなジャンルです。流石にこれを授業で扱うのもどうかと思うので、ここで紹介しておきます。
ダサ・ダンサブルというジャンルで特に優れているのは、やはり、Merenglass というおじさんたちでしょう。メキシコ人で、ドミニカの国民音楽、Merengue (メレンゲ)。のグループです。メレンゲ自体は世界の陽キャに愛されるジャンルの音楽ですが、このおじさんたちの曲はダサい。本当にダサい。代表曲 La mujer del pelotero ‘野球選手の妻’ という曲のMV を見てください(タイトルからして結構キてる)。
いかがでしたか(キュレーションサイト風に)?動画の中にダサくない部分を探すのがとても大変という奇跡の作品だと思ったのではないでしょうか。それと同時に、謎のノリのよさ、中毒性も感じたかと思います。現に私は週五ペースでこれを聴き続けています。また歌詞にメッセージ性の欠片もないところがいいのだな。A メロを見てみましょうか(微妙に下ネタの感じをにじませてるところがまたダサい)。
Le gusta el bate, a la mujer del pelotero 野球選手の妻はバットが好き
Le gusta la carne, a la mujer del carnicero 肉屋の妻は肉が好き
Me pide pistola, la mujer del patrullero 警官の妻は俺にピストルをもとめる
Y la del bombero, me esta pidiendo fuego 消防士の妻は俺に炎をせがむ
ね、なかなかでしょう。ただ、gustar のいい練習にはなりますわね。一行目と二行目の le と a la mujer 以下が同じものを指しているという一年生が苦手にしがちなポイントが入っています。
このジャンル、スペインも負けていません。Eurovision というヨーロッパ各国の歌の代表が集まってチャンピオンを決めるという大会があるのですが、今年のスペイン代表はまさかのダサ・ダンサブルで勝負をかけたのでした。Miki という人の La venda という曲です。歌そのもの、Miki の風貌、セットやバックダンサー、ふりつけ、全てがダサいのになぜか観る者、聴く者の心をつかんできます。
これを書いていて思ったのですが、このジャンルの音楽の歌手は妙に活舌がいいので、リスニング的にもうれしくていいですね。
